非常通信事例の報告がありました

県内で非常通信(目的外通信)事例がありました。概要は以下の通りです。

「令和5年10月12日、大月市雁ヶ腹摺山(がんがはらすりやま)より下山途中の横浜市金沢区在住のアマチュア無線家が道に迷った。携帯電話が通じないため持っていたアマチュア無線機で午前9時20分ごろ救助要請の発報。受信した神奈川県内のアマチュア無線家が応対し、山梨県警に通報。大月署と大月市消防で無事救出した。」

応対されたOMさんは非常通信として関東総合通信局へ80条報告を行ったのことで、JARL山梨にも同報をいただきました1。アマチュア無線が役立って無事に救出されほんとうによかったと思います。

上記事例の内容は翌日に掲載された「山梨日日新聞」の記事に基づくものです。双方がアマチュア無線家であることと携帯電話の通話状況については、目的外通信の成立要件として重要であると考え応対局から提供の情報を利用し補足しています。

非常時のアマチュア無線の利用は、今後も支部として機会を通じ活発にアピールしていくべきと考えており、このたび県内で事例がありましたのでここに掲載いたします。

非常通信・目的外通信とは:
 「個人的な無線技術の興味、自己訓練」「他人の依頼による通報の禁止」等の文言にもあるとおり、アマチュア業務では自分自身の楽しみ 以外 のための通信はできません。第三者のための通信は「目的外通信(等)」になります2。目的外通信は、地震等の非常時(非常通信(法52(4)))や人命の救助のため(その他の目的外通信(法52(6)・施則37(33前半)))で、いずれも「有線通信」(ここでは携帯電話等を含む公共的通信のこと)が利用できない場合に限られています。
 ただし現在では「非常時のアマチュア無線の利用」にも記載があるとおり「社会貢献活動のために行う業務」がアマチュア業務に含まれ、非営利であるかぎりは有線通信の有無にかかわらず、自発的な活動としての災害救援等も可能なように法整備されています。
(非常通信であっても通信事項以外の免許の範囲を超えて運用することはできません。

JARLの「アマチュア局の非常通信マニュアル」「非常通信に関する基本方針・非常通信実施要領」も併せてご覧ください

  1. 電波法第八十条 無線局の免許人等は、次に掲げる場合は、総務省令で定める手続により、総務大臣に報告しなければならない。
    一 遭難通信、緊急通信、安全通信又は非常通信を行つたとき(以下略)

    注)遭難通信、緊急通信、安全通信」は航空機・船舶の通信に使用されます。 ↩︎
  2. 無線局運用規則 アマチュア局の送信する通報は、他人の依頼によるものであつてはならない。ただし、地震、台風、洪水、津波、雪害、火災、暴動その他非常の事態が発生し、又は発生するおそれがある場合における、人命の救助、災害の救援、交通通信の確保又は秩序の維持のために必要な通報は(略)、この限りでない。 ↩︎